自衛権の発動要件

昭和471014日参議院決算委員会

提出資料

 憲法第9条のもとにおいて許容されている自衛権の発動については、政府は、従来からいわゆる自衛権発動の3要件(わが国に対する急迫不正の侵害があること、この場合に他に適当な手段のないこと及び日宇用最小限度の実力行使にとどまるべきこと)に該当する場合に限られると解している。

昭和44310日参議院予算委員会

高辻法制局長官答弁

 ………自衛権の行使については厳密な要件がある。………要するに、わが国に急迫不正の侵害がある。そして他に全くこれを防衛する手段がない場合には、防衛する。ただし、それは必要な限度にとどめなければならない。これがいわゆる3要件であると思います。その3要件に適合しないものは、わが憲法といえどもむろん許さない。

昭和60927日衆議院森清議員

質問主意書に対する答弁書

 憲法第9条の下において認められる自衛権の発動としての武力の行使については、政府は、従来から、

 ア わが国に対する急迫不正の侵害があること

 イ これを排除するために他の適当な手段がないこと

 ウ 必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

 という3要件に該当する場合に限られると解しており、これらの3要件に該当するか否かの判断は、政府が行うことになると考えている。

 以上のことから、政府見解に従った場合、我が国が自衛権の発動及び実力行使を行うには

・わが国に対する急迫不正の侵害があること

・これを排除するために他の適当な手段がないこと

・必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

 の三要件を満たしていることが必要だということになる。そしてこれらの条件が満たされているかどうかの判断は、政府に一任されていると解される。だがこれら三要件の中には、「急迫不正の侵害」という、具体的な定義の提示されていない文言が含まれている。そこで何を以て「急迫不正の侵害」とすべきか、軍事的な観点から考えた私案を以下に提示する。

・我が国に対する他の国家あるいは組織による武力攻撃の意思表示

・想定される着弾の位置や状況から、我が国の主権や領域、国民の生命、身体、自由または財産に被害を与えることが予測される銃砲弾、爆弾または誘導弾の発射あるいは投下

・我が国に対する領海または領空の侵犯があって、自衛隊や海上保安庁などが既定の警告を行っても相手が退去しない場合

・何らかの国家あるいは組織による武力攻撃が行われ、我が国の主権や領域、国民の生命、身体、自由または財産が侵害される事態が発生した場合

・我が国の領域に対する地雷、機雷その他の危険物の敷設または設置

 この場合、現状においても我が国の領土であるにもかかわらず他国による選挙を受けている竹島や北方領土、さらには条約の解釈次第では阿頼度島までの千島列島や北緯五十度以南の南樺太に対して即時に自衛権を発動するころができるものと考えられる。

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