自衛隊の合憲性
昭和29年12月22日衆議院予算委員会
大村防衛庁長官答弁
憲法第9条は、独立国としてわが国が自衛権を持つことを認めている。従って自衛隊のような自衛のための任務を有し、かつその目的のため必要相当な範囲の実力部隊を設けることは、何ら憲法に違反するものではない。
昭和55年12月5日衆議院森清議員
質問主意書に対する答弁書
我が国が自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、憲法第9条の禁止するところではない。自衛隊は、我が国を防衛するための必要最小限度の実力組織であるから憲法に違反するものではないことはいうまでもない。
昭和42年3月31日参議院予算委員会
佐藤総理答弁
政府としては、自衛隊法と、これも基づいて設置され維持されている自衛隊が、憲法に違反するのでないことは、憲法解釈論として、一貫して堅持してきた見解であります。いわゆる砂川事件についての最高裁の判決は、自衛隊の合憲、非合憲の問題については、これを否定もしておらないし、肯定もしておりません。
(参考)
最高裁判所は、いわゆる砂川事件判決において「……同条2項がいわゆる自衛のための戦力の保持を禁じたものであるか否かは別として……」外国軍隊の駐留はここにいう戦力には相当しないと解すべきであると判示している。
昭和57年3月10日参議院予算委員会
角田法制局長官答弁
……憲法第9条についてでありますが、この点につきましては従来からしばしば申し上げていますように、私どもとしては、自衛のため必要最小限度の防衛力を保持することは9条の禁止するところではないというふうに考えておりますし、自衛隊が合憲であるということについて、いささかの疑義も持っておりません。
以上の政府見解から、政府は一貫して自衛隊が「自衛のため必要最小限度の防衛力」であるとの前提に立ったうえで、自衛隊が合憲であることを認めている。また最高裁判所も、砂川事件に限らず、現在の自衛隊の存在そのものを違憲とした判決はこれまでに出していない。
よって法的あるいは軍事的にどの程度の規模や装備を以て「必要最小限度」とするかという問題は存在するが、少なくとも自衛隊の存在そのものは、合憲というのが政府見解である。